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VOCA展'97 「現代美術の展望-新しい平面の作家たち」

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梅津 元 埼玉県立近代美術館学芸員
「…全体/想像させない/曖昧/部分/繰り返し/…/自作/ペインティング/拡張/イメージ/…/色画用紙/白い絵の具/刷毛/横方向/重ねていく/繰り返し/…/ディテール/コンパクトカメラ/少しづつ/位置/ずらし/写真/…/全体像/追い続け/16枚/一つの像/形成しない/…/カラーコピー/引き伸ばされ/写真/否定/…全体/想像させない/曖昧/部分/繰り返し/…」

機械的に反復される日常。私の生活を取り囲む様々な機械や、大量生産品だけが機械的な反復に関わるのではない。私の思考、私の行動、私の人生、それ自体が機械的な反復である。かけがえのない一瞬、ドラマチックな出会いや別れなどなく、あらゆる思考、あらゆる行動は、物理的に等価である。そこになんらかの優劣や意味を感じるのは個人的な感傷にすぎず、また、そのような感傷をもたらす価値付けの動機は入れ替え可能である。にもかかわらず、その価値付けを絶対的なものと思い込むこと、それが抑圧である。そして、この抑圧を隠蔽しつづけるために必要とされる装置がユートピアである。ここで、ユートピアとして想定される世界のひとつが芸術や美術と呼ばれる領域であるとするならば、私はそのような芸術や美術には全く興味がない。私の生活の現実を、機械的に反復される日常を、全面的に肯定することによって可能となる芸術。その姿は、理性的判断を待つまでもなく、私の生理が教えてくれるはずである。

注)「 」内は中根秀夫によるプレゼンテーション用テキストからの引用および再構成。


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