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in ten years ―風景論のために (新写真集刊行記念展2)

 2023年の秋に福島県郡山市内のカフェギャラリーで個展を開催した。そこで「震災から10年」という言葉では括ることができない「浜通り」の現在/現実を知ることになる。「やり残したこと」をやるべきではないか。漠然とそう考えていた。震災と原発事故の当事者ではなく、しかし同時に福島から送られて来る電気を無自覚に消費し続けた方の当事者として、この土地を通して考え続けること、美術家としてその事実に自覚的であり続けること。「傷」や「痛み」について何度でも問い直すこと。他者の悲しみに寄り添うことの「不可能性」について考えること。そこに新たなる「風景論」の地平が開かれるであろう。

 

ネムノキ

2024-0630 05:59/富岡町 仏浜(合歓)
Photogragh

 四階の東向きのホテルの窓から朝焼けが見える。富岡駅からの始発列車は六時過ぎでまだ少し時間がある。昨日の合歓の花を見るため、早めにホテルを出る。

水仙

2024-0406 14:14/大熊町熊旭台(水仙)
Photogragh

 雨に濡れる林道を抜け大熊町に入ると、しばらくは穏やかな田園風景が続く。熊川に掛かる橋を渡ると住宅地区が近くなる。時の重さに崩れてしまった家屋と、その庭に残された水仙の花。妙に愛おしく、普段は躊躇するシャッターを一度だけ切った。次の機会にはその場所すら思い出せないだろうから。

富岡漁港

2025-0224 06:00/富岡町 富岡港と小浜
Photogragh

 朝5時半にホテルを出る。気温は0℃。風もなく穏やかな夜明け前。赤い色を含み始めた夜空に細い月が見えている。駅前にあるホテルから10分ほど歩くと「浜街道」にあたり、道路を越えると、そこから富岡港に出港前の船の灯りが見下ろせる。6時を告げる町内放送の音楽が流れ、そして静かに港を離れてゆく船を見送る。カモメが一斉に羽ばたく。うつくしいくに。

会場風景

forget-me-not /2025-0503 17:14
Photogragh

会場風景

left: Fridays (2012-0824 18:27, 2012-0831 18:36, 2012-1221 17:38, 2013-0310 18:06)
right: forget-me-not (2025-0324 11:32, 2025-0421 13:21)
Photogragh

会場風景

left: wild strawberry (2025-0601 06:59, /2025-0528 07:47)
right: oregano kent-beauty (2025-0618 11:19, 2025-0805 07:55)
Photogragh

写真集:in ten years ―うつくしいくにのはなし/理想郷

ちいさなくに

in ten years ―a tale of a beautiful countory/utopia

今回の写真集には 2021年から2024年夏にかけて撮影された写真170点を掲載する。 ここ10年で復興を終えたとされる木戸駅周辺と、いまだ行く末が見出せないこれらFUKUSHIMAの土地を行き来し、「震災から10年」という言葉では括れない「浜通りの現在/現実」を問う内容となる。 震災と原発事故の当事者ではなく、しかし同時に福島から送られて来る電気を無自覚に消費し続けた方の当事者として、この土地を通して考え続けること、美術家としてその事実に自覚的であり続けること、「傷」や「痛み」について何度でも問い直すこと、他者の悲しみに寄り添うことの「不可能性」について考えること。 そこに新たな「風景論」の地平が開かれるであろう。

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