2013

2013 「過程からのドローイング」展 Vol.2

2013年8月2日 から8月11日  @アートプレイスK

 

「目に見えるものがほんとうのものとはかぎらない」、片桐は自分自身に言い聞かせるようにそう言った。 ー村上春樹

「東京タワーを空から見下ろした絵を描いて欲しい」と個展を見に来た母方の従兄が言った。3年前、2010年こと。もちろん私が「そういう絵」を描いていないことはちゃんと分かっているのだ。戯れというのか、そんな絵ならば買ってもいいというわけだ。従兄から「東京タワー」の話を少し聞いた。それは家族との思い出の話だった。スカイツリーはまだ建設途中だった。

私の場合、特定のイメージから制作を始めるということが無く、制作のためのドローイングすらしたことすらない。とはいえ、その従兄の思い出話が私の身体の一部にザラッとした感触でまとわりつき、ほとんど絶望的とも言える試行錯誤を繰り返さざるを得なくなってしまった。仕方なく自分が夜空の星となり眼下にそびえ立つ東京タワーの姿を想像してみた。湿り気を帯びた雪が東京の空を舞い、ヘッドライトが忙しなく行き交うさま...。

結局「空から見下ろした東京タワー」の制作は断念した。従兄は去年(2012年)の個展に来て(あるいは少しがっかりしたかもしれないが)、ガラス製のフォトフレームを買って帰った。 それは私の父の傘寿の祝いの品として、震災の直前に仙台の加工業者に依頼した限定品だ。個人経営のその業者は後に廃業してしまった。

あの時に放棄した作品を壁に掛けてみた。... いくら待てども、小さな無彩色の画面に「東京タワー」は出現しない。やれやれ...。その小品に自分の好きな短編小説のタイトルをつけることに決めた。『かえるくん、東京を救う』

 

peacepiace

Peace Piece  2013年
紙、アクリル
14 x 18 x 2 cm

1. White Plan 2008年
2. Aesthetic Life 1 2010年
3. im Spiegel (puddle) 1 2012年
4. かえるくん、東京を救う (After the Quake) 2011年
5. かえるくん、東京を救う (After the Quake) 2011年
6. Aesthetic Life 2 2010年
7. White Plan 2 2008年
8. im Spiegel (puddle) 2 2012年
9. im Spiegel (puddle) 3 2012年


 

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