1998

Books Project

CD-ROM / インターネットプロジェクト

 

今回のプロジェクトの原型となるのは、1995年に制作したBOOKSHELFという作品です。本棚に並べられたこの作品は、ひとつひとつが「塗り重ねられた色」の本でもあり、本の形式を利用した絵画作品でもあります。一冊の本は、大きな絵の断片を順番に並べて本の形に再構成したもので、ページを繰り、最後のページまで読み進めることによって、ひとつの絵画を体験することになります。しかし、本の見開きから断片の「差異」を確認することはできても、最初に作られたはずの絵画全体のイメージは、ここでは意味を持たなくなります。「読者」は本という形式のもつ必然性にしたがってページをめくり続け、意味から切り離された時間を体験するでしょう

「本」であることと「オリジナル作品」であることとは、空間的に矛盾を抱えています。「本」が、基本的に、個人の空間で展開される複製メディアであることに対して、「オリジナル作品」では、あらかじめ規定された空間の中でしか体験できません。個人が美術館やギャラリーに足を運ぶことによってのみ完結される作品形態だということです。より多くの人が「個人の空間」で作品を体験できるように、BOOKSHELFという作品を 電子メディアの「本」で置き換えることにしました。現在のコミュニケーションの形態から考えて、このかたちがBOOKSHELFという作品を完結させるために、いちばんふさわしいと考えるからです。

新しいメディアであるはずのコンピュータの平面のモニターの上に、なぜ旧来の「本」という形式を乗せようとするのか。このことは、現代における人間の方向性を、ある意味で明確に示唆しているといえるでしょう。

 

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